「家を解体したいけど、どこから手をつければいいか分からない…」
「施工技士資格って必要なの?」
そんな悩みをお持ちのあなたへ。
この記事では、解体工事の基礎知識から安全対策、業者選びのポイントまで、わかりやすく解説していきます。
さらに、解体工事にかかる費用や許可・届出についても詳しく解説しますので、安心して解体工事を進められるように、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.解体工事施工技士資格がなくても大丈夫?
結論から言うと、解体工事施工技士資格がなくても、解体工事を行うことは可能です。
ただし、請負金額など、いくつかの注意点があります。
- 500万円未満の解体工事の場合:解体工事業登録が必要
- 500万円以上の解体工事の場合:建設業許可が必要
- 公共物件の解体工事の場合:資格を求められる場合がある
つまり、施工技士資格がなくても、小規模な解体工事や、技術管理者や専任技術者になれる条件を満たしていれば、解体工事を行うことは可能です。
しかし、解体工事は専門的な知識や技術が求められる工事であり、近年では、建物の高層化や複雑化、廃棄物処理やリサイクルの必要性などから、その重要性はますます高まっています。
解体工事施工技士の資格を取得することで、これらの知識や技術を証明することができ、より多くの仕事を受注できる可能性が高まります。
その他の注意点
参考サイト:国土交通省 PDF解体工事に求められる 技術者資格に て 技術者資格について
500万円未満の解体工事の場合
請負金額が500万円未満の解体工事の場合は解体工事業登録が必要です。
この登録には、技術管理者を選任する必要がありますが、解体工事施工技士の資格がなくても、実務経験などによって技術管理者として認められる場合があります。
500万円以上の解体工事の場合
請負金額が500万円以上の解体工事の場合は建設業許可が必要となります。
この許可を取得するためには、専任技術者が必要となりますが、解体工事施工技士の資格を持っている場合は、専任技術者として登録することができます。
公共物件の解体工事の場合
公共物件の解体工事の場合は、配置技術者として、発注者から解体工事施工技士の資格を求められる場合があります。
2.そもそも解体工事ってどんな工事?
解体工事は、建物を解体し、更地にするための専門的な工事です。
一見、単純作業のように思えますが、実は安全面や法律面など、注意すべき点が数多く存在します。
解体工事には、大きく分けて3つの種類があります。
- 全壊解体: 建物を完全に解体し、更地にする工事
- 部分解体: 建物の特定部分を解体する工事
- 改修解体: 建物を改修するために、一部を解体する工事
解体工事の工程は、以下のようになります。
- 事前調査: 建物の構造や周辺環境の調査、許可・届出の確認
- 解体準備: 隣地への影響を最小限にするための養生、安全対策の実施
- 解体作業: 建物を解体し、廃棄物処理
- 後片付け: 敷地内を清掃し、元の状態に戻す
3.解体工事施工技士資格とは?
解体工事施工技士は、国土交通省管轄の国家資格です。
この資格は、解体工事の施工技術や知識を持っていることを証明し、技術管理者になるために必要です。
具体的には、解体工法、事前調査、見積もり、建築資材、建設リサイクル法に基づく資材回収、廃棄物処理法などの知識を証明できます。
資格取得の必要性
請負金額が500万円未満の解体工事を行うには、解体工事事業登録が必須で、技術管理者を選任する必要があります。
解体工事施工技士の資格があれば、技術管理者として認められます。
- 500万円以上の解体工事には建設業許可が必要で、解体工事施工技士は専任技術者として登録できます。
- 公共物件の解体工事では、発注者から配置技術者として資格を求められる場合があります。
資格創設の背景
解体工事施工技士資格は、近年になって創設されました。
背景には、解体業が建設業の独立区分として新たに設けられたことがあります。
- 従来、解体工事は「とび・土工」の一部でしたが、建物の高層化や複雑化、廃棄物処理やリサイクルの必要性、アスベストの管理強化などにより、専門的な知識や技術が求められるようになりました。
- このため、解体工事の適正な実施と廃棄物の適正処理を行う専門家が必要となり、解体業の独立区分と同時に、解体工事施工技士資格が創設されました。
試験概要
試験は、例年12月上旬頃に実施され、択一式試験と記述式試験からなります。
合格点は、択一式と記述式ともに正答率50%以上で、全問200点満点中115点以上です。
試験内容は、土木・建築の基礎知識、解体工事施工の計画・管理、解体工事の工法、解体工事用の機器・仮設、振動・騒音・粉じん対策、石綿対策、安全衛生管理、副産物・廃棄物対策、関連法規などが出題されます。
記述式試験は、「解体工事の実務経験に関するもの」や「木造・鉄骨」に関するものが出題されます。
受験資格
受験資格には、最終学歴に応じて、一定期間の実務経験が必要です。
大学の指定学科卒であれば最短で1年6か月以上、中学校卒であれば8年以上の実務経験が必要です。
詳細は、関連機関の情報を参照してください。
取得後の注意点
解体工事施工技士の資格を取得しても、解体工事を行うには、別途、建設業許可や解体工事業登録が必要です。
資格は、あくまで技術や知識を証明するものであり、工事を行うための許可ではありません。
関連資格
解体工事施工技士と関連性の高い資格として、建築施工管理技士や土木施工管理技士があります。
これらの資格も、工事に関する幅広い知識や技術を証明するものであり、取得することで、仕事の幅を広げたり、キャリアアップにつなげたりすることができます。
4.安全に解体工事を進めるための注意点
事前に確認すべきこと
- 隣地との境界線確認: 解体作業中に隣地へ影響が出ないように、境界線をしっかりと確認しましょう。
- 地中埋設物の確認: ガス管、水道管、電気線などの地中埋設物が存在しないか確認し、誤って損傷させないように注意が必要です。
- 建築物の構造確認: 建物の構造や耐震性などを事前に確認することで、安全な解体方法を検討できます。
- 許可・届出の必要性: 解体工事を行う際には、自治体への届け出や許可が必要となる場合があるので、事前に確認しましょう。
解体工事中の注意点
- 安全対策: ヘルメット、安全靴、保護メガネなど、適切な安全対策を講じることが重要です。
- 騒音・振動対策: 近隣への影響を最小限にするため、騒音や振動対策をしっかりと行いましょう。
- 廃棄物処理: 廃棄物は適切に分別し、許可された処理場に搬出することが重要です。
解体工事完了後の確認事項
- 残置物の確認: 解体工事が完了した後、残置物が残っていないか確認しましょう。
- 敷地内清掃: 解体工事完了後は、敷地内を清掃し、元の状態に戻しましょう。
5. 解体工事業者選びのポイント
信頼できる業者を見つけるために、以下のポイントを参考にしましょう。
- 資格・実績: 解体工事施工技士資格を持っている業者や、過去の解体工事の実績が豊富な業者を選びましょう。
- 費用: 複数業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。費用の内訳を明確に説明してくれる業者を選び、不明な点は質問しましょう。
- 評判: 過去の顧客からの評判を調べましょう。インターネットや口コミサイトなどを参考に、信頼できる業者かどうかを確認しましょう。
- 契約内容: 契約書の内容をよく確認し、不明な点は質問しましょう。契約書に、解体工事の工程、費用、支払い方法、責任の所在などが明記されているか確認しましょう。
- 保険: 解体工事中に発生した事故に備え、適切な保険に加入している業者を選びましょう。
6. 解体工事の費用について
解体工事の費用は、建物の規模、構造、解体方法、廃棄物処理費用などによって大きく異なります。
一般的に、木造住宅であれば坪あたり5万円から10万円、鉄骨造であれば坪あたり10万円から20万円程度が目安と言われています。
解体工事の費用を抑えるためには、以下のポイントを参考にしましょう。
- 解体方法: 手壊し解体よりも、機械解体のほうが費用を抑えられる場合があります。
- 廃棄物処理: 廃棄物を分別し、リサイクル可能なものを増やすことで、廃棄物処理費用を抑えられます。
- 時期: 解体工事の需要が低い時期に依頼することで、費用を抑えられる場合があります。
7. 解体工事の許可・届出について
解体工事を行う際には、自治体への届け出や許可が必要となる場合があります。
届け出・許可が必要となる主なケース
- 建築物の規模が一定規模を超える場合
- 特定の区域内で行う場合
- 特定の構造の建築物を解体する場合
解体工事を行う前に、必ず自治体に問い合わせて、必要な手続きを確認しましょう。
8. まとめ:安全でスムーズな解体工事のために
解体工事は、専門知識や技術が必要な作業です。
施工技士資格の有無に関わらず、安全対策をしっかりと講じ、信頼できる業者を選び、事前にしっかりと準備をすることが大切です。
この記事が、解体工事を検討されている方の参考になれば幸いです。
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